NESSA

Tulpaと体外離脱

隣合わせの話



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犬の散歩で二駅離れた施設に来てしまっていた。
急に、帰らないと、どうして自分はたかが犬の散歩でこんなに離れたところに来てしまったんだ、と怖くなる。


犬(ポメラニアン)を引きずりながら、駅へ。
切符売り場までつく途中、どこかの体育館を通ったり迷子になったりした。
自分の記憶と、実際の地理が噛み合わなくてイラついてる。

駅で切符を買うため、女の子の後ろに並ぶ。
頭上の料金ボードは、人の頭に邪魔されてよく見えない。

 

受付、私の番。
駅員「そこまでなら、185円だよ」
小銭入れを開ける。

185円ってなんだっけ?頭が働かない。百円玉と、あと50円玉でお釣りが来る?


駅員「……。」
私「間違ってますか?」
駅員「おつりは、要らないよね?」
私「え、いいですけど」
駅員「じゃあちょっと待ってて」
駅員は、事務所の扉に消えた。
私の後ろに沢山の人が並んでいる。早く帰りたいだろうに、私が邪魔してしまっている。


駅員はまだ来ない。
私「私って、運が悪いと立て続けにその連鎖にハマっちゃうんだ」
女の人「そうだね、ほんと」
私「この前だってね、目の前で電車が行っちゃったの。それも一日3本全部。今日だってね、すごくついてない……こんな、……あ、犬大丈夫かな?(犬はリュックの中から顔を出してる状態)」
男の人「大丈夫みたい」
私「よかった。ごめんねぇ」
リュックを、後ろの誰かが軽く押している。待ちくたびれた抗議だろうか?

あっ、

 

扉を見ると 駅員がドアに挟まれてうつ伏せに倒れている。まるでギロチンだ。
駅員「ハハハ、ごめんね。おつりは、やっぱり出ないようだよ」
男と女は消えていた。


家に着いた。もう夕飯の時間になってしまった。 


窓からふと空を見ると、違和感を感じる。
積乱雲のような厚い雲は、重力に影響されていないようで、上下に膨らんでいる。
隙間から見える丸い青空は、水彩絵の具でカスリを入れたように斑。その穴を、大事に包むみたいに、黄色の雲が縁どっている。

私「パパ!来て!空がすごいよ」
父「なんだよ?別に何ともないじゃないか」
私「え?すごくきれいじゃない……あ!」


空の中央に、いつの間にか惑星が8つ並んでいた。
あれ?これ、前も見たことあるぞ? 


惑星は、普段の月と同じくらいの大きさで、宇宙の彼方ではなく。数100メートルの距離で静止していた。


目の前の超常現象に興奮して、何度も「みえる?みえる?」と父に聞いた。

惑星たちは突然、空を散開した。空気を逃がした風船が駆け回るみたいに。そして消えた。

思い出した。
私「これ!今の!今まで2回見たことがある!ずっと夢だと思ってたのに……ホントだったんだ!すごい!ねぇパパもみたでしょ?!すごいね!」

父「うん……」

 


私はツイッターを開いた。
今の光景、写真で撮った人がいるかもしれない!

でも、上手く操作できなかった。いつの間にかトンチンカンな言葉で検索している。画像欄には、白い女の肢体。
結局、あの惑星のツイートなどは、一向に見つからないのだった。

食欲はないけど、目の前に出されたカブの味噌汁を啜った。

 

 

私「さっきの、ほんとにすごかったね」
父「そうかなぁ」
私「……?もしかしたら、2人とも違うものを見たのかもしれない!」
父「そうかもなぁ」
私「じゃあ、私がさっき見たやつ描いてみる!そしたら、同じかどうかわかるでしょ?」

 

白い紙に、丸を8つ。あ、時間も書いておかなきゃ。今日は6月1日の……たしか、21:11……そのくらい?


ふと、また窓の外を見ると、隣の家のベランダに黄色い服の女の子が見えた。
女の子は、空を見ていて足元に注意せず、うっかり落ちてしまった。
私は驚いて叫んだ。女の子の叫びとシンクロした。

 

父は窓に駆け寄っていった。
私は動けない。落下した女の子の周りで、数人が話す声が聞こえる。

 

女の子は死んだのかな?
見たい、見たいけどほんとに死んでたら?

窓が見えないように後ずさった。
見たいなぁ、でも、人の死体へエンターテインメントみたさに集まる人間になりたくないよう。
それに、お化けに取り憑かれたら嫌だし……怖いなぁ、見たいなぁ、……。

 

 

 

私は仰向けになっていた。布団から出た足は、直角に曲がっている。

 

 

夢だったんだ。
え?じゃあ、あの惑星のショーもまた夢だったの?

あれ?